罠の事。

快適な自転車ライフを営めるようになって
三日後の、つまり今週月曜日の事じゃった―


砂漠の妖精「おっさん」に修理してもらった
自転車には唯一の欠陥が存在した。
鍵が壊れていたのだ。
原因は単純。
錆びてレバーが動かなくなっていた。
珍妙な薬品を投与するだけで十分である。
この際、それも直そうと思っていた。
自転車は〝たるみ〟が取り除かれて、
しだいに庇護すべき対象へ昇華していた。


そんなときの事だ。
抗議講義が終わって駐輪場へ向かった。
着いたと同時に異変に気付く。
自転車が無い。
何が起こったのか理解出来なかった。


そう、あの時理解すべきだったのだ。
偉大な宇宙意思が囁いた。
「おっさん」は帝王セッチャリーナの手先で、
より苦痛を与えるために修理したのだ。


以来、歩くたびに腹が立ち、(本来なら自転車)
外を出歩くのが嫌になった強固の語呂。